交通事故においては、加重というケースが発生する可能性があります。加重とは、今回の交通事故で既存障害がある部分と同一部位に障害が生じ、より重い後遺障害を残すことになってしまった状態を意味します。より簡潔に表現すれば、加重とは、過去に障害があった人が交通事故に遭い、もともとの障害が悪化した際に適用されるものということになります。この加重については、示談交渉が難しくなる特徴があります。交通事故前の状況を正確に証明することが求められるため、加重に相当する後遺障害が残ってしまった際には、示談交渉が困難になるというわけです。最近の示談交渉の傾向としては、加害者と被害者が直接的に話し合うことは珍しく、加害者が加入している保険会社の担当員と被害者が交渉するケースが多くなっていると言えます。このような状況では、後遺障害等級認定がなされるのかどうか、という点が曖昧になる可能性があり、加害者側の保険会社のペースで進んでしまう事態になることも十分に想定されます。また、二度の交通事故に遭遇したということは、保険金の二重取りが懸念されてしまうため、保険会社の調査が厳しくなると考えられます。被害者が受けた被害や怪我などの後遺障害等級認定が難しい場合、弁護士などの専門家に相談することが推奨されています。特に加重の場合については、確実な補償を受けるため、加重や後遺障害等級認定を熟知している弁護士を探すことが重要なポイントになります。近年では、インターネットで交通事故に強い弁護士を簡単に探すことができるようになっています。専門のサイトにアクセスし、依頼したい弁護士の特徴や強みを、納得できるまでチェックすることが大切です。
投稿者: 交通事故司法書士弁護士
交通事故の無過失責任ってなに?
交通事故を起こしたときに、事故を起こした側も事故にあった側もともに過失がある交通事故の場合、例えば7:3や6:4など過失割合が決められ、損害賠償を行うときに過失相殺されます。
しかし一方に過失がないような場合、つまりもらい事故の場合には過失割合が100:0となります。これは、加害者側が被害者に損害賠償の全額を負担することを意味します。
しかし問題としてこの「もらい事故」のケースで、被害者となるべき運転者が、“無過失”であることを証明しなければ、賠償する義務を負うことがあります。これを無過失責任と言います。
民法では「過失責任」主義が取られるのですが、交通事故による損害賠償を規定した自動車損害賠償保障法は民法の特別法にアタリ、ここでは、民法とは違う主義で賠償責任を定めています。
この法の第3条を見るとわかるのですが、損害賠償責任を定める民法第709条と比べたら、「故意または過失により」という文言がないのです。この条文の前文をみると、自動車を運転している者は、どのような場合でも損害賠償の責任を負う、と読めます。
つまり、民法の「過失責任」に対し、自動車損害賠償保障法が「無過失責任」といわれ、これが交通事故の無過失責任と言う事になります。
しかし、このままではすべての責任が被害者側に来ることになります。それではあまりにも理不尽ですので、責任を負わなくてもよい条件(免責事由)を3つ記載しています。①自己および運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、②被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと、③自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったことを証明したとき、となります。
交通事故で被害にあったら
交通事故で被害にあったら、まずは通院することはもちろんですが、同時に専門家へすぐに相談に行きましょう。具体的な事例にもよりますが、たいていのケースで被害者は弁護士に相談した方が得なことが多いです。逆に言うと、弁護士に相談しないと被害者が損をすることが多いのです。→ 交通事故で弁護士が必要な理由